デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の申請ガイド――電子カルテ・予約システム導入に活用する方法
- 瑛美 岡
- 5月16日
- 読了時間: 6分
はじめに
「電子カルテを導入したいが費用が心配」「予約システムを入れたいが初期投資が大きい」——そうしたお悩みをお持ちの先生方に、ぜひ活用を検討していただきたいのが、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金/2026年より名称変更)です。
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する国の補助金で、クリニックも対象となります。電子カルテ・予約管理システム・レセプトコンピューターなど、診療業務に直結するITツールの導入費用の一部を補助してもらえる制度です。
この記事では、デジタル化・AI導入補助金の仕組みと申請の流れ、クリニックが申請する際の注意点を解説します。
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とは
経済産業省・中小企業庁が実施する補助金制度です。
中小企業・小規模事業者が業務効率化・売上向上を目的としてITツールを導入する際の費用を補助することを目的としています。
クリニックの場合、以下のようなITツールの導入に活用できます。
電子カルテシステムの新規導入・更新
予約管理システムの導入
レセプトコンピューター(レセコン)の更新
会計・経営管理システムの導入
問診票のデジタル化システム
補助の枠・補助率・補助上限額
Iデジタル化・AI導入補助金にはいくつかの「枠」があり、枠により補助率・補助上限額が異なります。
主な枠は以下の通りです。
枠の種類 | 補助率 | 補助上限額の目安 |
通常枠 | 1/2以内 | 5万〜450万円程度 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 3/4以内 | 50万円程度 |
セキュリティ対策推進枠 | 1/2以内 | 100万円程度 |
※補助率・補助上限額は年度・公募回によって変わります。必ず最新の公募要領をご確認ください。
デジタル化・AI導入補助金の大きな特徴
デジタル化・AI導入補助金には、他の補助金と大きく異なる特徴があります。
それは、ITベンダー(システム提供会社)が「IT導入支援事業者」として登録されていないと申請できないという点です。
つまり、クリニック単独で申請することはできません。導入したいITツールを提供しているベンダーが、あらかじめ事務局に登録された「IT導入支援事業者」である必要があります。
申請の流れとしては以下のようになります。
補助金事務局のウェブサイトで、登録済みのIT導入支援事業者・ITツールを検索する
導入したいツールのベンダーに連絡し、補助金申請の意向を伝える
ベンダーと協力して申請書類を作成する
電子申請システム(IT導入補助金の専用ポータル)から申請する
申請の流れ
STEP 1:gBizIDの取得
I申請には、gBizID(GビズID)プライムアカウントの取得が必要です。
取得には数週間かかる場合があるため、申請を検討し始めた段階で早めに手続きを開始しましょう。
STEP 2:SECURITY ACTIONの宣言
情報セキュリティに関する自己宣言(SECURITY ACTION)を行うことが申請要件となっています。
IPAのウェブサイトから宣言できます。
STEP 3:IT導入支援事業者・ITツールの選定
補助金事務局の公式ポータルサイトから、登録済みのIT導入支援事業者・ITツールを検索します。
導入したい電子カルテや予約システムのベンダーが登録されているか確認しましょう。
STEP 4:ベンダーと協力して申請書類を作成
ベンダーと連携し、ITツールの導入計画・見積書・申請書類を作成します。事業計画の内容も審査に影響するため、導入の目的・期待される効果を具体的に記載することが重要です。
STEP 5:電子申請
専用ポータルサイトから電子申請を行います。
申請はクリニック側とベンダー側の両方が行う仕組みになっています。
STEP 6:採択・交付申請
採択通知が届いたら、正式な交付申請を行います。
STEP 7:ITツールの導入・支払い
交付決定後にITツールの契約・導入・支払いを行います。
交付決定前の契約・支払いは補助対象外となるため注意が必要です。
STEP 8:実績報告・補助金の受け取り
導入完了後に実績報告を行い、審査が通れば補助金が振り込まれます。
クリニックが申請する際の注意点
① 導入したいツールのベンダーが登録済みか確認する
使いたい電子カルテや予約システムのベンダーがIT導入支援事業者として登録されていない場合、そのツールでは申請できません。まずベンダーに「デジタル化・AI導入補助金は使えますか?」と確認するところから始めましょう。
② 交付決定前に契約・発注をしない
補助金申請中に「早く導入したい」という気持ちから、採択前にベンダーと契約してしまうケースがあります。交付決定前の契約・発注・支払いは補助対象外となるため、必ず交付決定後に手続きを進めましょう。
③ 補助金はあくまで後払い
補助金は事業完了後の精算払いが原則です。
導入費用の全額を一時的に自己資金で立て替える必要があります。資金繰りを事前に確認しておきましょう。
④ 公募期間・スケジュールを早めに確認する
デジタル化・AI導入補助金は年間を通じて複数回の公募が行われますが、公募期間には締切があります。
「導入したいと思ったとき」に公募が終わっていることもあります。関心がある場合は早めに公募スケジュールを確認しましょう。
⑤ 導入後の報告義務がある
採択後も、一定期間にわたって事業の実施状況・経営指標の報告が求められます。
報告を怠ると補助金の返還を求められる場合があるため、採択後も継続的な対応が必要です。
よくある質問
Q:開業前のクリニックでも申請できますか?
デジタル化・AI導入補助金、は原則として「すでに事業を営んでいる」事業者が対象です。
開業前の申請は対象外となる場合がほとんどです。開業後に申請を検討しましょう。
Q:電子カルテの更新(買い替え)でも使えますか?
新規導入だけでなく、既存システムの更新・バージョンアップも対象になる場合があります。
ただし枠や条件によって異なるため、公募要領の確認とベンダーへの相談をおすすめします。
Q:複数のITツールをまとめて申請できますか?
同一のIT導入支援事業者が提供する複数のツールをまとめて申請できる場合があります。
電子カルテと予約システムをセットで導入する場合などは、ベンダーに確認してみましょう。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金は、電子カルテ・予約システムなどの導入コストを抑えられる有力な制度です。
ただし、ベンダーとの協力が必要・交付決定前の発注は不可・後払いが原則など、独特のルールがあります。
活用を検討する場合は、まず導入したいツールのベンダーに補助金対応の可否を確認し、早めにgBizIDの取得を進めることをおすすめします。
「自院が対象になるか確認したい」「申請書類の作成をサポートしてほしい」という先生方は、お気軽にご相談ください。
制度は改正されることがあります。最新情報については、当事務所にご確認ください。
行政書士岡瑛美事務所 岡 瑛美
医療分野に特化した行政書士として、開設から運営まで一貫してサポートします。
「まだ検討段階」という方のご相談も歓迎しています。


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