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広告規制と医療機関のウェブサイトの注意点――医療広告ガイドラインを正しく理解する

5月3日
読了時間: 6分

はじめに


ホームページやSNSでの情報発信が当たり前になった今、クリニックのウェブサイトは集患における重要なツールです。

しかし医療機関の広告には、一般のビジネスとは異なる厳格な規制があります。

「他のクリニックもやっているから大丈夫」「ウェブサイトは広告じゃないから関係ない」――そのような認識は危険です。医療広告規制に違反した場合、行政指導・是正命令・さらには罰則の対象となる可能性があります。


この記事では、医療広告規制の基本的な考え方と、ウェブサイト運営で特に注意すべきポイントを解説します。また、広告規制への対応において行政書士に依頼できる内容についてもご紹介します。



医療広告規制の基本的な考え方


医療機関の広告は、医療法第6条の5およびその関連省令・医療広告ガイドライン(厚生労働省)によって規制されています。

医療広告規制の目的は、患者が正確な情報をもとに医療機関を選択できるよう、虚偽・誇大・比較優良な広告から患者を守ることです。


広告規制が適用される「広告」とは

医療法上の「広告」に該当するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。


  • 誘引性:患者を誘引する意図があること

  • 特定性:特定の医療機関・医師の名称が明らかであること


この2つの要件を満たすものは広告として規制の対象となります。


ウェブサイトも規制の対象

2018年の医療法改正により、クリニックのウェブサイトも医療広告規制の対象となりました。「ウェブサイトは広告ではない」という解釈はもはや通用しません。



広告できる事項・できない事項


医療広告は原則として、法令で定められた事項のみ広告できるという「限定列挙」の考え方が基本です。



広告できる主な事項


  • 診療科目・診療時間・休診日

  • 医師の氏名・年齢・役職・略歴

  • 医療機関の名称・所在地・電話番号

  • 施設・設備に関する事項

  • 費用に関する事項(自由診療の場合は金額の明示が必要)

  • 厚生労働大臣が定める医療機能情報


広告できない主な事項


虚偽広告

事実と異なる内容の広告は全面的に禁止されています。


比較優良広告

「地域No.1」「最高水準の医療」など、他の医療機関と比較して優良であることを示す表現は禁止されています。


誇大広告

「必ず治る」「完全に改善する」など、実際よりも著しく優良であると誤認させる表現は禁止されています。


患者の体験談・口コミの掲載

患者の主観的な体験に基づく体験談・口コミは、効果を保証するものと受け取られる可能性があるため、広告への掲載は禁止されています。


治療前後の写真の比較掲載

ビフォーアフター写真は、誇大広告につながりやすいとして原則禁止されています。

ただし、詳細な説明文を付した場合など一定の条件を満たせば掲載できる場合があります。


費用の強調表示

「モニター価格」「期間限定割引」など、費用の安さを強調する表現は規制の対象となります。



ウェブサイト運営で特に注意すべきポイント


① 自由診療の費用は必ず明示する

自由診療(保険外診療)の内容をウェブサイトに掲載する場合、費用の明示が義務付けられています

「お問い合わせください」「カウンセリングにてご案内」といった表現で費用を明示しないことは規制違反となります。


② 専門性を示す表現に注意する

「専門医」という表現は、学会が認定した専門医資格を持っている場合のみ使用できます。

資格のない「専門医」表示や、「○○のスペシャリスト」といった誤解を招く表現には注意が必要です。


③ 「絶対」「必ず」などの断定表現を避ける

治療効果について「必ず改善します」「絶対に治ります」といった断定的な表現は誇大広告に該当します。

「改善が期待できます」「効果には個人差があります」といった適切な表現を使いましょう。


④ 他院との比較表現を避ける

「他院より安い」「地域で唯一の」「日本初の」といった比較・優良表現は規制の対象です。

客観的なデータに基づく場合でも、表現の仕方には注意が必要です。


⑤ SNS・ブログも規制の対象

クリニックが運営するSNSアカウント・ブログも、誘引性・特定性の要件を満たす場合は広告規制の対象となります。投稿内容にも注意が必要です。


⑥ リスク・副作用の説明を省略しない

自由診療の内容を掲載する場合、治療のリスクや副作用についても適切に説明することが求められています。メリットのみを強調した一方的な情報提供は規制に抵触する可能性があります。



限定解除――一定の条件下で広告できる事項


通常は広告できない事項でも、患者が自ら情報を求めてアクセスする環境が整っている場合に限り、一定の条件のもとで掲載が認められる「限定解除」という考え方があります。


限定解除が認められる主な条件は以下の通りです。


  • 医療に関する適切な選択に資する情報であること

  • 患者等が自ら求めてアクセスする仕組みになっていること(パスワード設定・クリック同意など)

  • 自由診療の場合は費用・リスク・副作用の情報が掲載されていること


限定解除の解釈は複雑なため、具体的な対応については専門家に相談することをおすすめします。



行政書士に依頼できること


医療広告規制への対応において、行政書士には以下のサポートを依頼できます。

ウェブサイト・広告内容の適法性確認 現在のウェブサイト・チラシ・院内掲示物などが医療広告ガイドラインに照らして問題がないか確認します。

違反の可能性がある箇所を指摘し、適切な表現への修正をアドバイスします。


医療機能情報提供制度への対応

都道府県が運営する医療機能情報提供システム(いわゆる「医療情報ネット」)への報告は、医療機関に義務付けられています。この報告書類の作成・提出サポートを依頼できます。


行政指導・是正命令への対応サポート

万が一、行政から広告内容について指導・是正命令を受けた場合の対応書類の作成・手続きをサポートします。

なお、ウェブサイトの制作・修正作業そのものは行政書士の業務範囲外です。制作会社と連携したうえで、法令上の観点からのアドバイスを行う形でサポートします。



違反した場合のリスク


医療広告規制に違反した場合、以下のリスクがあります。


  • 都道府県からの報告徴収・立入検査

  • 是正命令(違反広告の削除・修正命令)

  • 是正命令に従わない場合の罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

  • 行政指導の内容が公表される場合がある


違反が発覚するきっかけとして、患者・競合医療機関からの通報・行政による定期的なモニタリングなどが挙げられます。

「見つからないだろう」という認識は禁物です。



まとめ


医療機関のウェブサイト・広告は、医療広告ガイドラインに基づく適切な運営が求められます。

特に自由診療を行うクリニックは規制の対象となる事項が多く、注意が必要です。


「現在のウェブサイトが規制に違反していないか確認したい」「新たに広告を出す前にチェックしてほしい」「医療機能情報の報告書類を作成してほしい」という先生方は、お気軽にご相談ください。



制度は改正されることがあります。最新情報については、当事務所にご確認ください。


行政書士岡瑛美事務所 岡 瑛美

医療分野に特化した行政書士として、開設から運営まで一貫してサポートします。

「まだ検討段階」という方のご相談も歓迎しています。










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