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クリニック開業後にやるべき手続き一覧――見落としがちな届出と変更手続き


はじめに


開院準備の忙しさの中で、「開院後の手続き」は後回しになりがちです。

しかし開院後も、さまざまな届出・申請・更新手続きが発生します。

これらを見落とすと、加算が算定できない・法令違反になる・行政指導を受けるといったリスクにつながることがあります。


この記事では、クリニック開業後に必要となる主な手続きを時系列と種類別に整理します。

開院前のチェックリストとしてもご活用ください。



開院直後に必要な手続き


X線装置の届出

X線装置(レントゲン)を設置した場合、備え付けた日から10日以内に保健所へ「エックス線装置備え付け届」を提出する必要があります。開設届と混同して忘れられやすいため、注意が必要です。


麻薬施用者免許の取得

麻薬(医療用麻薬・医療用麻薬含有製剤など)を診療に使用する場合、医師個人が都道府県への麻薬施用者免許を取得する必要があります。免許なしに麻薬を施用することは法律違反となります。

ペインクリニック・緩和ケア・在宅診療などで麻薬を使用する予定がある場合は、開院前から申請を進めておきましょう。


労働保険・社会保険の加入手続き

スタッフを雇用している場合、以下の手続きが必要です。

  • 労災保険・雇用保険:管轄の労働基準監督署・ハローワークへ届出

  • 健康保険・厚生年金:管轄の年金事務所へ届出(常時5人以上の従業員を雇用する場合は加入義務


これらは開院・雇用開始後、速やかに手続きを行う必要があります。



施設基準の届出(診療報酬加算に関わります)


保険診療を行うクリニックが、基本の診療報酬に上乗せして加算を算定するためには、地方厚生局への施設基準の届出が必要です。

届出を行っていない加算は算定できません。開院当初から算定したい加算がある場合は、開院前から準備を進め、指定申請と合わせて届出を行うことが重要です。


主な施設基準の例

加算・届出の種類

概要

時間外対応加算

時間外の電話対応体制を整えている場合に算定

在宅療養支援診療所

24時間対応・往診体制などの要件を満たす場合に届出

かかりつけ医機能強化加算

研修修了・健康管理の取り組みなどが要件

機能強化加算

かかりつけ医として必要な体制を整えている場合

外来感染対策向上加算

感染対策に関する体制整備が要件

明細書発行体制等加算

明細書を無償で発行する体制がある場合

※算定できる加算は診療科・体制によって異なります。詳細は地方厚生局にご確認ください。



変更があった場合の届出


開院後に以下のような変更が生じた場合、速やかに届出・申請が必要です。


保健所への変更届

変更内容

届出期限の目安

診療科目の変更

変更後10日以内

管理者(院長)の変更

変更後10日以内

診療所の名称変更

変更後10日以内

住所・構造設備の変更

変更後10日以内

診療所の休止・廃止

休廃止後10日以内


地方厚生局への変更届

変更内容

届出期限の目安

診療時間・休診日の変更

変更後速やかに

医師・スタッフの就退職

変更後速やかに

診療科目の変更

変更後速やかに

施設基準の変更・辞退

変更後速やかに

変更届の提出が遅れると、診療報酬の返還を求められるケースもあります。

変更が生じた際は早めに対応しましょう。



定期的に必要な手続き

開院後は一度きりの手続きだけでなく、定期的に発生する手続きもあります。


施設基準の定例報告

施設基準の中には、毎年一定の時期に報告書の提出が求められるものがあります。

提出を怠ると加算が取り消される場合があるため、スケジュール管理が必要です。


医師免許・各種資格の更新

医師免許そのものに更新はありませんが、以下は更新・届出が必要です。

  • 麻薬施用者免許:毎年更新(都道府県)

  • 死亡診断書作成に関する研修:定期的な受講が推奨されています

  • 各学会専門医資格:学会ごとに更新要件が定められています


医療機器の保守点検・届出

特定の医療機器(X線装置など)は、定期的な保守点検が義務付けられています。

また、機器の廃棄・更新時にも届出が必要になる場合があります。



開院後の手続き チェックリスト


最後に、開院後の主な手続きをチェックリスト形式でまとめます。


開院直後(速やかに)

  •  X線装置備え付け届(設置した場合・10日以内)

  •  麻薬施用者免許の取得(必要な場合)

  •  労災保険・雇用保険の届出

  •  健康保険・厚生年金の届出(該当する場合)

  •  施設基準の届出(算定したい加算がある場合)


変更が生じたとき

  •  保健所への変更届(診療科・管理者・名称・構造設備など)

  •  地方厚生局への変更届(診療時間・スタッフ・施設基準など)


定期的に

  •  施設基準の定例報告(該当する加算がある場合)

  •  麻薬施用者免許の更新(毎年)

  •  医療機器の保守点検記録の管理



まとめ


開院後の手続きは種類が多く、提出先も保健所・地方厚生局・労働基準監督署など複数にわたります。

「知らなかった」では済まないケースもあるため、開院前から全体像を把握しておくことが大切です。


「開院後の手続きを整理したい」「変更届の提出タイミングがわからない」という先生方は、お気軽にご相談ください。開設後の手続き管理についてもサポートいたします。



制度は改正されることがあります。最新情報については、当事務所にご確認ください。


行政書士岡瑛美事務所 岡 瑛美

医療分野に特化した行政書士として、開設から運営まで一貫してサポートします。

「まだ検討段階」という方のご相談も歓迎しています。

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