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診療所開設の流れと必要書類

4月26日
読了時間: 5分

はじめに


「いつか自分のクリニックを」と考えている先生方にとって、診療所の開設は大きな夢であると同時に、複雑な行政手続きを伴う一大プロジェクトです。

開設にあたっては、保健所への届出、厚生局への保険医療機関指定申請など、複数の手続きを並行して進める必要がありますが、一つひとつの期限や提出先が異なり、順序を間違えると開院が大幅に遅れることもあります。


この記事では、診療所開設の流れと必要書類を、開業を検討中の先生・すでに個人診療所を運営されている院長先生の両方に向けてわかりやすく解説します。



診療所開設までの全体的な流れ


診療所の開設は、大きく分けて以下の5つのステップで進みます。


1:事前準備・計画立案

2:物件・設備の確定と保健所への事前相談

3:保健所への開設届の提出

4:保険医療機関の指定申請

5:開院


物件の契約から開院まで、一般的には6ヶ月〜1年程度を見ておくと安心です。

それぞれのステップで何をすべきか、順番に見ていきましょう。



① 事前準備・計画立案

開設前にまず決めておくべきことは、以下の通りです。


  • 開設形態の選択:個人開設か医療法人か

  • 診療科目の決定

  • 開設場所・物件の選定

  • 資金計画・融資の検討

  • クリニック名称の検討


特に見落とされがちなのがクリニック名称の事前確認です。

近隣に同名・類似名のクリニックがある場合や、医療法上の規定に抵触する場合は、希望する名称が使えないことがあります。

候補を2〜3案用意した上で、早めに保健所に確認しておくことをおすすめします。


また「個人開設か医療法人か」という選択は、税務・承継・スタッフ採用など経営全体に影響する重要な判断です。

まだ医療法人化していない段階でも、将来の法人化を見据えた設計をしておくことが、後々の手続きをスムーズにします。



② 物件・設備の確定と保健所への事前相談

診療所として使用する物件が決まったら、医療法が定める構造設備基準を満たしているかを確認します。


主な基準としては以下が挙げられます。

  • 診察室の面積(6.6㎡以上)

  • 待合室の設置

  • 適切な換気・採光・照明・防湿の確保

  • 入院施設を設ける場合の病室基準


ここで必ず行っていただきたいのが、工事着工前の保健所への事前相談です。

内装工事が完了してから構造上の問題が発覚した場合、やり直しが発生し、開院が大きく遅れることになります。

平面図の段階で保健所に相談し、問題がないことを確認してから工事を進めるのが鉄則です。



③ 保健所への開設届の提出

内装工事が完了したら、保健所へ開設届を提出します。

医療法では開設後10日以内に届け出ることが義務付けられていますが、実務上は工事完了のタイミングで提出し、その後に保健所による立入検査が行われるケースが一般的です。

開設届が受理された段階では自由診療のみ可能で、保険診療を行うには次のSTEP4の手続きが別途必要になります。


主な提出書類

書類名

備考

診療所開設届

所定の様式

管理者の医師免許証の写し


平面図(各室の用途・面積が明記されたもの)


土地・建物の登記事項証明書または賃貸借契約書


構造設備の概要書


医療機器の一覧

X線装置がある場合は別途届出が必要

※都道府県・保健所によって必要書類が異なります。事前に管轄の保健所へご確認ください。


個人開設と法人開設の違い

個人開設の場合は「開設届」の提出ですが、医療法人が開設する場合は、都道府県知事の許可申請が必要となり、手続きの難易度・期間ともに大きく異なります。

法人開設については別記事で詳しく解説しています。



④ 保険医療機関の指定申請

保険診療を行うためには、地方厚生局への保険医療機関指定申請が必要です。

自由診療のみのクリニックであれば不要ですが、ほとんどの場合この手続きが必要になります。


スケジュールの注意点

ここで特に注意が必要なのが申請の締切です。

  • 保険医療機関の指定は毎月1日付けで行われます

  • 申請の締切は指定希望月の前月20日前後が目安です

  • 申請には保健所受付済みの開設届が必要なため、STEP3との順序が重要です


つまり、「10月1日から保険診療を開始したい」と考えた場合、9月20日頃までに厚生局へ申請できるよう、それ以前に開設届を提出しておく必要があります。

開院日から逆算してスケジュールを組むことが、空家賃を発生させないための重要なポイントです。



⑤ その他の関連手続き

状況に応じて、以下の手続きも必要になります。

開設後に追加することも可能ですが、開業当初から対応できる体制を整えておくとスムーズです。


X線装置を設置する場合 備え付けた日から10日以内に、保健所へエックス線装置備え付け届を提出

麻薬を取り扱う場合 都道府県への麻薬施用者免許の取得

在宅診療を行う場合 在宅療養支援診療所(在支診)の届出(地方厚生局)

訪問看護ステーションを併設する場合 都道府県への指定申請



まとめ:開設手続きは「逆算」と「事前相談」がカギ


診療所開設の手続きで失敗しないためのポイントは、大きく2つです。


一つは開院日からの逆算

保険医療機関の申請締切・保健所の立入検査・工事期間を踏まえると、物件契約から開院まで最低でも半年、余裕を持つなら1年のスケジュールが必要です。


もう一つは早めの事前相談

名称の確認・構造設備の確認・書類の確認、いずれも「後から気づいた」では取り返しがつかないケースがあります。

「何から始めればいいかわからない」「手続きを任せたい」という先生方は、お気軽にご相談ください。開設前の事前準備から書類作成・申請のサポートまで、トータルでお手伝いします。


制度は改正されることがあります。

最新情報については、当事務所にご確認ください。


行政書士岡瑛美事務所 岡 瑛美

医療分野に特化した行政書士として、開設から運営まで一貫してサポートします。

「まだ検討段階」という方のご相談も歓迎しています。


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