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診療科目別・開設手続きの違いと注意点――内科・歯科・精神科・在宅専門クリニックの場合


はじめに


診療所の開設手続きは、基本的な流れはどの診療科でも共通です。

しかし診療科目によって、追加で必要な届出・設備基準・人員配置の要件が異なります。

「内科と同じように準備を進めていたら、自分の診療科では別の手続きが必要だったと後から気づいた」というケースも少なくありません。


この記事では、開業希望の多い診療科を取り上げ、それぞれの手続き上の注意点を解説します。



全診療科共通の基本手続きおさらい


診療科を問わず、以下の手続きは共通して必要です。


  • 保健所への診療所開設届の提出

  • 地方厚生局への保険医療機関指定申請(保険診療を行う場合)

  • 構造設備基準(診察室6.6㎡以上・待合室・手洗い設備等)の充足


これらの詳細は、別記事にてご説明しています。

以下では、各診療科に固有のポイントを中心に解説します。



内科・小児科・皮膚科など「一般外来」系


一般的な外来診療を行うクリニックは、特別な追加手続きが少なく、基本的な流れで開設を進められます。

ただし以下の点は確認が必要です。


在宅診療を行う場合

在宅療養支援診療所(在支診)の届出を地方厚生局に行うことで、往診・訪問診療に関連する加算を算定できるようになります。24時間対応体制・連携医療機関の確保などの要件があります。


小児科の場合

特別な追加届出はありませんが、乳幼児が多く来院することを想定した待合室の設計(感染対策・授乳スペースなど)を保健所との事前相談の際に確認しておくとよいでしょう。


アレルギー検査・点滴等を行う場合

処置室の設置が必要になる場合があります。平面図の段階で保健所に確認しましょう。



歯科・矯正歯科・小児歯科


歯科診療所は、医科の診療所とは別の基準が適用される部分があります。


診療室の基準

歯科の診察室は、医科と同様に6.6㎡以上が必要です。

複数のユニット(診療台)を設置する場合は、それに応じた面積・動線の確保が求められます。


歯科技工所を併設する場合

歯科技工所を診療所内に設ける場合は、歯科技工所としての届出が別途必要です。


歯科用X線装置

歯科では口腔内X線・パノラマX線・CTなどを使用することが多く、装置ごとに遮蔽設計・届出が必要です。

装置の種類・台数によって対応が変わるため、早めに専門業者と連携した設計を行いましょう。


訪問歯科診療を行う場合

訪問歯科衛生指導料等の加算算定には、施設基準の届出が必要です。



精神科・心療内科


精神科・心療内科は、他の診療科と比べて設備面での規制は少ない一方、開設にあたって特有の配慮が必要です。


入院施設(精神科病床)を設ける場合

精神科の入院施設は、医療法上「精神病床」として扱われ、一般の有床診療所とは異なる厳格な基準が適用されます。

無床(外来のみ)の精神科クリニックであれば、一般の診療所と同様の基準で開設できます。


個室・防音への配慮

法令上の義務ではありませんが、診察室のプライバシー確保・防音は精神科クリニックとして信頼を得るうえで重要です。設計段階から意識しておきましょう。


向精神薬・麻薬の取り扱い

向精神薬は麻薬とは異なり、免許は不要ですが、保管・管理に関するルールがあります。

麻薬(医療用)を使用する場合は麻薬施用者免許が必要です。


自立支援医療(精神通院医療)の指定

精神科クリニックでは、自立支援医療機関(精神通院医療)としての指定を受けることで、患者の自己負担軽減につながります。

指定申請は都道府県への申請が必要です。

開院当初から対応できるよう、早めに準備を進めましょう。



眼科


視力検査・各種検査機器 眼科では多くの検査機器を使用しますが、医療機器の設置自体に特別な届出は原則不要です。ただし機器の配置・検査室の動線を考慮した設計が重要です。


コンタクトレンズ処方

コンタクトレンズの処方・販売を行う場合、販売については高度管理医療機器販売業の許可が必要です。

診療と販売を組み合わせる場合は、保健所・都道府県への手続きを確認しましょう。



整形外科・リハビリテーション科


リハビリテーション室の設置 理学療法士・作業療法士が行うリハビリを提供する場合、リハビリテーション室の面積・人員配置に関する施設基準があります。

加算を算定するためには地方厚生局への届出が必要です。


X線装置

整形外科ではX線装置の設置が一般的です。

遮蔽設計・届出については別記事でご説明していますので参照してください。


医療機器(超音波・牽引装置等)

特別な届出は不要なものがほとんどですが、保守点検の記録管理が必要です。



在宅専門クリニック


近年増加している「外来を行わず在宅診療のみ」を行うクリニックは、一般の診療所とは異なる点があります。


診察室の取り扱い

在宅専門クリニックであっても、診療所として開設するためには診察室(6.6㎡以上)の設置が必要です。

実際に患者が来院しない場合でも、設備基準を満たした診察室を確保する必要があります。


在宅療養支援診療所の届出

在宅診療を行うクリニックの多くは、在宅療養支援診療所(在支診)の届出を行います。

24時間対応・連携体制・往診実績などの要件があり、届出によって算定できる加算の幅が広がります。


機能強化型在支診

複数の医師が在籍するなど、より手厚い体制を整えた場合は「機能強化型在宅療養支援診療所」として届出でき、さらに高い加算を算定できます。



まとめ:診療科ごとに「プラスアルファの手続き」を確認しよう


診療所の開設手続きは共通部分が多い一方、診療科ごとに固有の届出・設備基準・施設基準が存在します。

「自分の診療科では何が必要か」を早い段階で整理し、保健所・地方厚生局への事前確認を行うことが、スムーズな開院への近道です。


「自分の診療科の手続きを確認したい」「必要な届出を整理してほしい」という先生方は、お気軽にご相談ください。診療科の特性を踏まえた開設準備をサポートいたします。



制度は改正されることがあります。最新情報については、当事務所にご確認ください。


行政書士岡瑛美事務所 岡 瑛美

医療分野に特化した行政書士として、開設から運営まで一貫してサポートします。

「まだ検討段階」という方のご相談も歓迎しています。

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